episode8.2015年04月22日

100分の2のスタート 
起業家としての道を歩きはじめた女性社長ふたりの想い


メンバー紹介

  • あきば

    あきば株式会社Lifull FaM(ネクスト子会社)代表

    2004年、新卒1期生として入社。『HOME'S』の営業を経て、人事部にて採用・人材育成を担当。自身の子育ての経験から株式会社Lifull FaMを立ち上げ、子育てと仕事を両立しながらキャリアを築く、女性社員のロールモデル的存在となる。 プライベートでは、8歳になる一人娘のママ。親子で大好きな漫画「ONE PIECE」をモチーフにしたレストランに行ったり、子供の友達を自宅に招いて、クリスマス、バレンタイン、送別会など季節ごとにキッズパーティを企画するキラキラママぶりを発揮する。 特技は、完成度7割のミッキーマウスのモノマネ。 座右の銘は、社内ガイドラインの1つでもある「自ら動く、自ら変える」。

  • ゆうこりん

    ゆうこりん株式会社Lifull TraveRing(ネクスト子会社)代表

    2006年中途入社。 前職では商社の事務職から営業職に転向した異色なキャリアを持つ。 ネクスト入社後は、『HOME'S』営業、事業企画を経験後、マーケティング部門の マネージャーに抜擢。パワフルなプロジェクト推進力としなやかな調整力で実績を残す。 その力はプライベートでも遺憾なく発揮され、イベントや飲み会の幹事力の高さから過去には「カリスマ幹事」の異名も持つ。 最近はまっていることは「Lifull TraveRingを大切に育てること」と「ダイエット」。パーソナルトレーナーのもと、2ヶ月でマイナス6kgに成功とプライベートでも着実に実績を残す。座右の銘は「どうせ頑張るなら、笑顔で頑張る」。

  • サービス開始のきっかけは?

    あきば

    あきば

    「Lifull FaM」は、わたし自身の子育ての経験がもとになっています。
    ネクストに新卒1期生として入社したのですが、『HOME'S』の営業として邁進していた1年目に子供を授かりました。
    産休・育休から復帰後は人事部で新卒採用を担当していましたが、仕事と子育ての両立に、毎日葛藤を感じていました。保育園からの急な呼び出しがあると会社に申し訳ない、遅くまで働いていると娘に申し訳ない……。私が頑張れば頑張るほど誰かに迷惑をかけてる……。
    罪悪感に苦しんだこの経験が私の心を動かしました。
    働くママがこんな思いをする現状を変えたい。子育て、仕事、どちらもHAPPYに両立できる社会をつくりたい!と。
    まず社長が事業計画立案を教える社内勉強会「経営塾」に参加し、その事業計画を社内の新規事業提案制度「Switch(スイッチ)」で提案。その後さらに検討を重ね、ママだけが両立に奮闘するのではなく、パパとママがいっしょに子育てをできる仕組みをつくろうと現在のサービスモデルに練り上げました。

    ゆうこりん

    ゆうこりん

    私も自身の経験がきっかけになっています。
    毎年選抜メンバーで実施するネクストの海外研修で、私は2013年にメンバーに選ばれました。行き先は、人口わずか550万人ほどの北欧フィンランド。現地で、企業や大学、行政機関を訪問する中で、過去の経済危機を乗り越え、今では様々なスタートアップ企業を創出し、世界を相手に新しいサービスを提供、前進している姿を目の当たりにしました。あの感動は今でも鮮明に覚えています。「日本もこのような国にしたい!」私の中に強い想いが芽生え、その手助けとなるようなことを一生かけてやっていくという人生の目標ができました。
    帰国後、まずは自分で事業を立ち上げる経験をしようと、「Switch」への応募を決めました。
    私自身が経験した、「旅行先の国で、現地の人との交流により人生が変わる体験」、この素晴らしい体験を、より多くの人に届ける仕組みをつくりたいと考えたのです。

  • 「子会社」としてサービスを開始することになった時の率直な気持ちは?

    あきば

    あきば

    最初は戸惑いがありました。これまで「Switch」で受賞した提案は、社内の新規事業としてスタートしていたので、私も新規事業の責任者になるんだ、と思っていましたから。それが突然、子会社化すると言われて驚きました。
    「私に社長が務まるの?しばらくは売上もないのに本当に会社としてやっていける??」様々な不安が一気に押し寄せてきました。
    でも、設立に向けて動きはじめたら、やることは山ほどあって不安なんて言ってられなくなったんです。周りでサポートしてくれる人も大勢いました。そして、何より私自身の考え方に大きな変化がありました。
    私がこれから目指すゴールは、アプリをつくることでも、単純に売上を上げることでもない。「子育ても仕事もどちらもHAPPYにできる世界」をつくること。
    そのためには、それをビジョンに掲げた「会社」として動いていくことがベストだと思うようになりました。

    ゆうこりん

    ゆうこりん

    私もはじめは驚きましたが、「なぜ子会社にするのか?」という意味を私なりにすごく考えたんです。子会社にするほうがずっとコストがかかる。それでもそうするのは、より責任感を持って挑戦できる機会を与えてもらっているんだ、と。
    そうして、いざ設立準備にかかろうという時、準備をサポートしてくれる管理部門の部長から一通のメールが届きました。
    そこには、「“会社をつくる”という経験は人生でそう何度もありません。だから設立の準備はなるべく自分の手で進めてもらいます。」そんな内容が記されていました。だから私たちはふたりとも、印鑑をつくったり、法務局に行ったり、一般的な社内ベンチャーであれば司法書士の方や管理部門の方がやってくれることをほとんど自分たちでやったんです。明らかに効率は悪いんですが、イチから起業するように全く同じステップを一つ一つ重ねることで、自分の会社をつくるということ、そしてその責任の重さを感じることができました。もちろん、子会社であっても、社内の新規事業であっても、その事業を成功させようという想いは全く変わらないと思います。でも一つの会社を私に任せてくれた、その期待にきちんと応えたい、今は強くそう想っています。

  • サービスリリースまでに乗り越えた「試練」

    ゆうこりん

    ゆうこりん

    思い出したくも無いんですが(笑)、サービスリリースが延期になったことですね。
    10月の会社設立時に、3ヶ月後(翌年1月)のサービスリリースは必達と決めました。開発会社との連携もスムーズで、すべてが順調に進んでいました。それが、リリースまであとひと息という時に仕様もれが発覚……。SNSとしては致命的なミスでした。それでも、どうしても1月のリリースに間に合わせたかった私は、経営会議で延期以外の選択肢を提案し、必死にプレゼンしました。
    しかし経営陣が下した決断は「延期」。その瞬間、目の前が真っ暗になりました。
    あまりの悔しさに、「わかりました」の一言も言えず、会議室を黙って出ました。
    リリースは延期になっても、時間は止まってくれない。その間にも会社の資金は容赦なく減っていきます。
    「私の人件費下げて、足りない分はバイトしようかな。会社の近くのコンビニなら時給900円くらいで……。」とか本気で考えました(笑)。
    一日思いっきり落ち込んだ後は、過ぎたことをクヨクヨしても何も変わらない!このトラブルをいつか笑い話にするには、事業を成功させるしかない!と想いを 新たにしましたね。

    あきば

    あきば

    私の場合は、見極めること、決断することの難しさに悩みました。
    アプリの機能のうち、「メッセージ機能」と「写真共有機能」は早々に決まっていたんですが、あと1つどんな機能を入れるかギリギリまで決められず、とにかくママの声を集めようと、社内外含めて数十人に聞いてまわりました。
    ところが同じママでも、子どもの年齢、夫婦の関係性、ITリテラシーなどによって意見はみごとにバラバラ。ヒアリングを重ねるうちに、何を優先すれば良いのか、全く分からなくなってしまったんです。走っても走っても、出口にたどりつかない……そんな気分でした。
    でも、この出来事があったからこそ、会社の代表としての自覚が一層強くなったと思います。
    たとえどんな意見があっても、決断できるのは代表である私だけ。だから「必要とされる機能」であること、そして「Lifull FaMのビジョンに沿った機能」であること、この2つの軸で、自分が納得できる決断をしようと決めました。
    最終的に3つ目の機能には、子どもの予定をパパとママが忘れず共有できるよう、「カレンダー機能」を選びました。リリース後に社内のパパから「子供の遠足の予定を忘れずにすんだよ。」と声をかけてもらったのはうれしかったですね。他のユーザーからも1番好評な機能なので、最後まで妥協しないで本当に良かったと思います。

  • サービスリリースまでの「感動」「喜び」

    ゆうこりん

    ゆうこりん

    会社をつくるにあたって、私は自分ひとりで始めるという選択をしましたが、あきばさんはネクストのエンジニア1人と一緒にはじめたんです。二人が話し合っているのを隣で見ていると、すっごく羨ましくて(笑)。
    でも、私には同じ想いで「Lifull TraveRing」のことを語れる心強いパートナーがいます。それは、このサービスの開発をお願いした開発会社のプロジェクトマネージャーです。
    彼は私より10歳も年下なのに「ちゃんとユーザーの気持ちになって考えてますか?」と容赦なく私を怒ったり、夜中に言い争いのようなメッセージをやり取りしたこともあります(笑)。それくらい真正面からぶつかり合えるのも、私と同じくらいこのサービスに想いを持ってくれているから。
    実はこの方は、もともと私の担当になる予定ではなかったんです。でも社内で「Lifull TraveRing」の噂を聞きつけ、「このサービスを開発してみたい。僕にやらせてもらえませんか?」と上司にかけあって、担当してくれることになりました。この話を聞いたときには本当に感動しました。見ず知らずの人が、サービスと私に純粋に共感してくれたんだと。まだサービスもできていない時に、コンセプトに共感してくれる人に出逢え、共にサービスを創っている私はとてもラッキーだと思います。

    あきば

    あきば

    自分の想いに共感してもらえるって本当に幸せなこと。私もとても感動した出来事があります。
    会社設立した翌月の11月、さっそくFaceBookページを立ち上げ、新サービスにかける想いや背景を発信しはじめました。最初は身内や知り合いから「いいね!」がもらえるだけでした。
    そうして1ヶ月が経ったころのある日。「いつも見ています。想いにすごく共感しています。」というメッセージが届いたんです。送り主は4歳と1歳の子どもを持つ共働きの静岡在住の主婦の方で、全く面識の無い方でした。それまでも、直接お会いしてお話して応援してくれる方はいたんですが、私の発信を見て、Lifull FaMのことを知って共感して、それを伝えてくれたのはその方が初めてでした。その方とは、その後定期的にメッセージをやり取りしています。反応があると、自分の発信が、どこかで仕事と子育ての両立で悩んでいる人の元に届いていることを実感します。
    アプリをリリースした今も、Facebookやメールを通して、「便利に使っています」「ここは改善してほしい」等の声が1日何通も届くんです。そんな頻繁に反応があると思っていなかったので驚いています。そして、使ってもらっているという実感があるからこそ、もっとブラッシュアップして、より便利で愛されるサービスにしていきたいという想いがどんどん強くなっていきますね。

  • 次なるチャレンジは?

    あきば

    あきば

    今はこのサービスを成長させていくことに夢中です。
    開発中、「こうやって使ってくれたらいいな」とか「こんなふうに使われたらいいな」と描いていた「妄想」が、今は日々ダウンロード数や利用状況という「現実」の数字となって目の前に出てきます。
    プレッシャーや怖さを感じる一方で、誰かがどこかで使ってくれているんだという実感もわいて、私の自信になっています。その人たちのために、まずは地道な改善を繰り返し、もっと使いやすくしていきたいですね。
    その後は、今はパパとママの間だけのコミュニケーションを、保育園や幼稚園などの地域、そして他のパパ・ママへと広げていきたいと考えています。
    そして、会社のメッセージに掲げた『「子育て」×「仕事」=HAPPY×2』な世界をつくっていきたい。私が子育てをしながらでも、子会社の代表になれたのは「ママだから」を理由にしてチャレンジを諦めなかったからです。それには、会社や周りの協力がもちろん必要ですが、仕事を続ける上で「ママ」であることがハンデにならない社会をつくるサポートをしていきたいと考えています。

    ゆうこりん

    ゆうこりん

    私もあきばさんと同じ、このサービスを成長させることにチャレンジ真っ最中です。 まずは、このアプリの「ファン」をつくっていきたい。
    単純にダウンロード数を増やすのではなくて、100人でも200人でもいいから「Lifull TraveRingが大好き!」っていうコアなファンをつくりたいと思っています。 そして、将来的な目標として、日本から世界に向けて良いサービスを発信するサポートをしていきたいと考えています。海外研修から帰国した後、機会があるたびにこんな話をしていたら、あちこちから声をかけてもらえるようになって、その1つが、4月24日に行われる「SLUSH ASIA」というイベントの運営スタッフです。
    「SLUSH」は毎年フィンランドで行われているスタートアップの一大イベントで、アジアでの開催は初めて。井上さん(社長)が事務局の中心メンバーをしているご縁で、スタッフとして手伝えることになり、他社の運営メンバーとともに準備を進めているところです。
    実は、SLUSHに関わろうと決めたのは、あきばさんの影響が大きいんです。というのも、まだサービスをはじめたばかりなんだから、今は事業だけに集中しなきゃけないんじゃないかと思っていて。でも子育てにも仕事にも100%なあきばさんを見ていて、私もどっちもチャレンジしようと思えました。
    同じ時期に会社を設立し、同じ時期にサービスを立ち上げたから、一見ライバル!?とみられがちですが(笑)そんなのは全然なくて。会社は別でも、それぞれのビジョンや目指す世界に向かって戦っている同士のような関係です。
    4月からは新たに子会社が2社できたので、これからは4人で刺激し合いながら、人々の人生(Life)を満たす(Full)、暮らしになくてはならないサービスになることを目指します。