2024.03.26
農業畜産分野を支援するLIFULL Agri Loop、 伊藤忠テクノソリューションズと循環型社会の実現を目指し協業
肥料化触媒「Poop Loop」が健康な土を作り、農作物の生産量改善に貢献
事業を通して社会課題解決に取り組む、株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120、以下「LIFULL」)のグループ会社である株式会社LIFULL Agri Loop(ライフル アグリループ)(本社:東京都千代田区、代表取締役:岸大介、以下「LIFULL Agri Loop」)は、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:柘植一郎、以下「CTC」)と、LIFULL Antioxidant Loop(ライフル アンチオキシダント ループ、以下「L-AL」)(※1)肥料化触媒「Poop Loop(プープ・ループ)」の効果検証を通じ、農業畜産分野における新たなビジネスモデルの創出と循環型社会の実現を目指して協業を開始します。
※1:L-ALとは特殊な鉄触媒の物理化学反応で、有機物から無機物への循環を加速・安定化させる技術です。
農畜産業における問題
畜産業で発生する糞尿は処理が困難なために、「悪臭・温室効果ガス(GHG)の排出」「大量の硝酸塩の発生」「牧草地土壌の劣化」「牧草の減収と品質低下」「牛の健康状態の悪化」「乳量・乳質の低下」などの問題が連鎖的に起こり環境汚染だけでなく、酪農経営の悪化に繋がっています。
一方で、糞尿は窒素・リン酸・カリを含む有用な資源でもあります。農業において原料の高騰が続く科学肥料の代替となる可能性があるものの、膨大な量を安全に農地に使用する技術がないために、活用が進んでいない状況です。
Poop Loopの効果と課題解決
LIFULL Agri Loopの販売するL-AL肥料化触媒「Poop Loop」は、水性触媒の物理化学反応により悪臭やGHG(温室効果ガス)を排出せずに畜糞尿を短時間で肥料化し、窒素成分をアンモニウムで安定化させる事で農作物の高品質化と収穫量の増加を実現します。すでに北海道の酪農現場では、大量に発生する糞尿にPoop Loopを添加し攪拌する簡便な処理により、悪臭や温室効果ガスの大幅削減や牧草地への投入による牧草の収穫量と糖度の向上が確認されています。増産した高糖度の牧草を餌として与えることにより、飼料購入費の大幅な削減と牛乳生産量の増加による売上向上が実現しており、Poop Loop処理による畜糞尿の有効活用が酪農経営の改善に繋がっています。
Poop Loopによって土壌の酸性化を防ぎ、栄養分の高い「健康な土」を作り出すことは、雑草を抑制し、土を入れ替えることなく持続可能な農業を実現します。農作物の生産量改善、ひいては食料自給率の向上にもつながると期待されています。
CTCとの協業による取り組み
CTCは農業分野のカーボン・クレジット普及に向けて、農地から正確なGHG排出量の測定や削減実績のNFT化(Non-Fungible Token:代替不可能なデータ)に取り組んでいます。そのノウハウを活用し、Poop Loopで肥料化した糞尿を投入した牧草地からの悪臭ガスやGHG排出量を6ヶ月にわたり測定・可視化し、Poop Loopの効果検証やカーボン・クレジット取引に向けた分析と検証を行います。家畜排せつ物の管理においてカーボン・クレジットを創出することで、糞尿の適正な処理と肥料としての有効活用を促進させます。
あわせて牧草の葉緑素量を3ヶ月にわたり計測・分析することで、高品質高糖度の牧草の収穫の最適な時期の予測も行い、酪農における飼料自給率の向上も同時に達成することで循環型農業の実現を目指します。
Poop Loopが作り出す「健康な土」と腐植物質
Poop Loopは畜糞尿だけでなく、下水汚泥や生ゴミなどの有機廃棄物にも応用できます。また、バイオスティミュラント(※2)として注目されているフルボ酸・フミン酸の生成も確認されており、あらゆる有機廃棄物をPoop Loopで肥料化し「健康な土」を維持することで、農産物の生産量と品質の向上が期待されます。
LIFULL Agri LoopとCTCは、Poop Loopの効果の検証を通じて、新たなビジネスモデルの創出を目指します。また循環型社会の構築や、健全な物質循環を目指す様々なパートナー企業との連携や協業を推進し、共同ビジネスの展開やPoop Loopを始めとするL-AL技術を中心としたエコシステムの構築など、地球環境や人間の生活環境の改善に貢献できる仕組みづくりに取り組んでまいります。
※2:植物や土壌により良い生理状態をもたらし、植物に良好な影響を与える物質
株式会社LIFULL Agri Loopについて
LIFULL Agri Loopは大創KET研究所が開発した水性触媒を利用した事業を展開しています。水性触媒が持つ物質の酸化還元反応をコントロールする機能で、有機物の物質循環の促進や、バイオスティミュラントであるフルボ酸フミン酸の生成が可能です。LIFULL Agri LoopはL-AL技術により「地球を健康」にして、高品質な食料生産を実現し、生産者の収益向上と、消費者への安全・高品質な食料の提供を実現してゆきます。
株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。
現在はグループとして世界63ヶ国でサービスを提供しており、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。
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