2025.03.12
LIFULL HOME'Sが 「高齢者の就労と住まい探し」の実態調査を実施
4月から65歳までの雇用確保が義務化も依然はびこる高齢者の“住宅弱者問題”
事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は、4月の「65歳までの雇用確保の義務化」を前に、59歳まで会社員であった60~65歳の1,592名を対象に「高齢者の就労と住まい探しの実態調査」を実施しました。
4月から「65歳までの雇用確保」が完全義務化の一方で、雇用保険法に基づく高年齢雇用継続給付は縮小。高齢者の住まい探しへの影響は?
今年の4月には高齢者雇用に関する以下の2つの法制度が改正される予定になっています。(※1)
- 65歳までの雇用確保の義務化
少子高齢化が進み人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるよう、活躍できる環境の整備を目的として、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、2021年から施行されています。今年4月からは企業に対し、定年制の廃止や65歳までの定年の引き上げ、希望者全員の65歳までの継続雇用制度のいずれかの導入が義務付けられます。
- 雇用保険法に基づく高年齢雇用継続給付の縮小
高年齢雇用継続給付は、定年後の賃金がそれまでの75%未満となっている場合、高齢者の雇用継続の援助を目的として対象者に賃金の補助として支給するものです。これまでは賃金の15%が支給されていましたが、今年4月以降は最大10%に縮小されます。
「雇用」と切っても切れない関係の「住まい」。高齢者は住宅の賃貸契約を断られやすい“住宅弱者”と言われています。雇用機会の拡大と住まいの選択肢の拡大は両輪で進められるべき課題です。そこで、59歳まで会社員であった60~65歳の方々にアンケートを実施し、就労や住まい探しの実態を調査しました。
※1:<参考>厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」、厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」
【60歳になった時の就労状況】約8割が「以前と同じ会社で勤務」
60歳になった時の就労状況について聞いたところ、78.6%が「以前と同じ会社で勤務」と回答しました。そのあとには、「別会社に転職」(12.9%)、「リタイア・専業主婦(主夫)」(5.5%)が続いています。
【60歳になった時の雇用形態】「正社員」は約半数。「嘱託・契約社員」が続く
続いて、60歳になった時の就労状況で「以前と同じ会社で勤務」または「別の会社に転職」と回答した人に対し、その際の雇用形態について聞いたところ、「正社員」が53.4%、続いて「嘱託・契約社員」(42.5%)となりました。
【60歳時の収入について】下がった人は73.9%。高年齢雇用継続給付の対象となり得る75%未満は47.2%
60歳の時の収入が59歳の時と比べてどの程度であったかを聞いたところ、最も多かったのが「50%以上75%未満」(27.0%)、続いて「75%以上100%未満」(26.7%)、「100%以上125%未満」(24.5%)となりました。
収入を伸ばした人もいる一方で、過半数の73.9%は収入が下がったと回答しました。また、高年齢雇用継続給付の対象となり得る75%未満の人は約半数の47.2%となりました。
60歳時の収入について「納得がいった」(「大いに納得がいった」「やや納得がいった」計)と回答したのは25.9%。反対に「納得がいかなかった」(「大いに納得がいかなかった」「やや納得がいかなかった」計)は43.3%となり、収入の下落について想定以上であった人が多いことがうかがえます。
【60歳以降の住まい探し:契約までの期間】過半数が「1か月未満」の一方で、「1年以上」も15.8%
賃貸物件に住んでいる場合、収入が減ってしまったら引越しを検討しなければならないことも出てくるかと思います。そこで、60歳以降に賃貸物件を探した経験のある人に契約までの期間を聞いたところ、56.4%が「1か月未満」と回答した一方で、「1年以上」と回答した人も15.8%に上りました。以前LIFULLが実施した調査(※2)では、一般層のうち物件契約までに「1年以上」かかった割合は2.8%となっており、高齢者の住まい探しは一般層と比較すると難しいことがうかがえます。
【60歳以降の住まい探し:不平等を感じた経験】37.1%が経験あり。「候補となる物件が少なかった」が最多
60歳以降に賃貸物件を探した経験のある人に対し、高齢であることを理由に不平等を感じた経験があったかどうかを聞いたところ、37.1%が「あった」と回答しました。
具体的な内容としては「候補となる物件が少なかった」(64.0%)がダントツで多く、「保証人の追加や過剰にお金の請求を受けた」(16.0%)、「プライバシーに関わる内容など過剰に質問や調査をされた」(14.7%)が続きました。
LIFULL HOME'S「FRIENDLY DOOR」事業責任者 龔 軼群(キョウ イグン)のコメント
今回の高年齢者雇用安定法の改正は、年金生活の高齢者の貧困が深刻化する状況において、高齢者の就労機会拡大・収入改善につながる前向きなアプローチであり、企業の労働力不足に対してもプラスに働くのではないかと捉えています。
一方、継続雇用であるものの、60歳を過ぎると一定の割合で収入が減少し、収入減少への納得度合いが決して高くないという調査結果を見ると、高年齢雇用継続給付の縮小は高齢労働者への待遇面への影響は少なからずあるだろうと思います。
私たちの暮らしにおいて、収入の変化は住まいの選択に密接に関わることは言うまでもないことですが、高齢者の住み替えにおいて物件の選択肢が限られる等の課題が山積している現状に対して、今回の法改正が高齢者の収入改善につながり、住まいの選択肢を広げる一手になることに期待したいと思います。
<LIFULL HOME'S「FRIENDLY DOOR」について(URL:https://actionforall.homes.co.jp/friendlydoor)>
高齢者、外国籍、LGBTQ、生活保護利用者、シングルマザー・ファザー、被災者、障害者、家族に頼れない若者、フリーランスなど、さまざまなバックグラウンドで住まい探しに困難を抱える方々に対し、親身になって住まい探しの相談に応じる不動産会社を検索できるサービスです。全国6,000以上の賛同店舗を掲載しています。(2025年3月時点)
FRIENDLY DOORにおける「障害者」の表記について
当事者の方からのヒアリングを行う中で、「自身が持つ障害により社会参加の制限等を受けているので、『障がい者』とにごすのでなく『障害者』と表記してほしい」という要望をいただきました。当事者の方々の思いに寄り添うとともに、当事者の方の社会参加を阻む様々な障害に真摯に向き合い、解決していくことを目指して、「FRIENDLY DOOR」サイトの検索カテゴリー、および接客チェックリストでは「障害者」という表記を使用しています。
※65歳以上の働く方300名、企業の採用担当者300名に実施した「シニアの就業に関する意識調査」(24年4月発表)もあわせてご覧ください。https://lifull.com/news/32276/
調査概要
期間:2025年2月27日 ~ 2025年3月4日
調査対象者:59歳まで会社員であった60~65歳の男女1,592名
調査方法:インターネット調査
有効回答数:1,592名
※小数点第二位を四捨五入しているため、合計が 100%にならない場合があります。
LIFULL HOME'S について(URL:https://www.homes.co.jp/)
LIFULL HOME'Sは、「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに掲げる不動産・住宅情報サービスです。賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅から住まいの売却まで。物件や住まい探しに役立つ情報を、一人ひとりに寄り添い最適な形で提供することで、本当に叶えたい希望に気づき、新たな暮らしの可能性を広げるお手伝いをします。
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株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。
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