2025.04.24
若者の家賃負担増、東京23区1Kは給与の33.6%を占める!繫忙期の単身向け物件の問合せデータをLIFULL HOME'Sが分析
事業を通して社会課題解決に取り組む、株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」は、首都圏の掲載賃料が過去最高※1となった2025年の住まい探しの繁忙期において、東京23区や全国の単身向け物件ワンルーム、1Kの問合せデータを調査しました。
※1 LIFULL HOME'Sマーケットレポート2025年3月版 https://lifull.com/news/42440/
2025年の住まい探しの繁忙期に選ばれた単身者向け物件とは? 賃料上昇が止まらない東京23区と全国で調査
毎年1~3月で新大学生・新社会人など多くの方々は新生活に向けた住まい探しをしています。
出社や通学回帰が進む中で都心に住みたいというニーズも増えていますが、掲載賃料が過去最高となった2025年の住まい探しの繁忙期において、単身者たちはどのような物件を探したのでしょうか?
ワンルームや1Kを単身向け間取りと定義し、東京23区や全国の単身向け間取りの物件を対象に今年の住まい探しの最新傾向を調査しました。
【東京23区繫忙期1~3月の間取り別の問合せ割合】
東京23区で2025年の繁忙期に最も選ばれたのは1K!5年間で最も増加し全体の約4割に達する。
まず全間取りのうち東京23区内で単身者向け間取りの問合せ割合がどれくらいなのかを調べてみました。
東京23区で2025年に最も選ばれた間取りは1Kで39.9%でした。次いでワンルーム(19.4%)、1LDK(14.5%)と続きます。1Kは、2021年から2025年の5年で37.1%から39.9%へと2.8ポイント増加し、間取り別で最も大きな伸びがみられました。2021年には8.4万円だった問合せ賃料は2025年には8.9万円となり、この5年間で新大学生や新社会人には少し手が出しにくい賃料となっています。
ワンルームは、同期間に18.7%から19.4%へと0.7ポイント増加しました。問合せ家賃は緩やかに上昇しながらも7万円台をキープし、東京23区内で初めて住まい探しをする方にとって検討可能な賃料と言えるでしょう。
東京都においては若年層(20~34歳)の転入超過※2と賃料上昇が相まって、ワンルームや1Kへの問合せが加速していると考えられます。
さらにこの他の間取りについても見てみると、1DKの割合は0.7ポイント増加、2Kや2DKの割合に大きな変化は見られませんでした。注目すべきは、1LDKや2LDKといったカップルやファミリー向き間取りの「リビングのある物件」の割合が1.0~1.5ポイント減少している点です。ファミリー向き物件の賃料上昇が続く東京23区内では、近隣3県への転出や家賃を抑えられる「1DK」や「2DK」へ間取りをずらすユーザーが増えている様子がうかがえます。
※2 統計局 住民基本台帳人口移動報告より https://www.stat.go.jp/data/idou/
【東京23区物件の詳細条件に見るユーザー動向】
物件選びで変化した条件「築年数」と変化しなかった条件「徒歩分数」
2021年から2025年の東京23区のワンルームと1Kの問合せ物件の詳細条件についてみてみると、築年数については長くなっています。5年間でワンルームは+1.7年、1Kは+2.6年です。
問合せ面積は昨年、今年と増加傾向にはあるものの、5年間でワンルームは+0.11㎡、1Kは-0.07㎡と概ね横ばいです。また、最寄駅からの徒歩分数はワンルーム・1Kともに5年間でほとんど変化がないことから、「駅からの近さ」が依然として物件選びの重要な条件であることがうかがえます。
このように家賃は上がってるのに、部屋は広くならないし、新しくもならない。東京23区での物件選びの厳しさ、いわば“世知辛さ”も感じられる結果となっています。
【2025年1~3月全国の都市別の問合せがあったワンルーム・1K】
問合せがあったワンルームの広さが20㎡未満なのは東京23区と横浜市のみ
若者の家賃負担増、東京23区1Kの給与賃料負担率は33.6%を占める。
東京23区をはじめ全国の単身向け間取り(ワンルーム、1K)物件のニーズの地域差があるのか、2025年の1~3月にLIFULL HOME'Sに掲載した物件への問合せがあった物件面積、問合せ賃料を東京23区と県庁所在地のある市ごとに調べました。
ワンルームの問合せ物件において平均面積が最小となったのは東京23区の19.43㎡です。2位は神奈川県横浜市の19.50㎡で、東京23区と僅差でした。トップ10は3位に京都府京都市の21.14㎡、4位に大阪府大阪市の21.78㎡をはじめ関西2府2県や5位に埼玉県さいたま市の22.26㎡など1都3県がランクインしています。さらに、6位に沖縄県那覇市(問合せ面積22.42㎡)、8位に北海道札幌市(同23.01㎡)と3大都市圏以外のエリアもランクインしています。
全国的にワンルームは20㎡以上の物件への問合せられているなか、東京23区や横浜市の19㎡台は特に狭いことが分かりました。しかし、上位2エリアの問合せ面積はほぼ同じですが面積単価が東京23区は4,075円、横浜市は3,234円と差があります。さらに東京23区内において20~24歳の給与内賃料負担率は29.74%と、家賃の理想とされる「収入の3割」にギリギリ収まっていますが、他のエリアよりも自由に使えるお金を圧迫しています。
1Kの問合せ物件において平均面積が最も狭かったのは神奈川県横浜市の22.57㎡です。2位は長崎県長崎市の22.71㎡、3位は福岡県福岡市の23.21㎡、東京23区は4位の23.29㎡です。面積単価は東京23区の3,839円が全国で最も高く、同程度の広さの1Kであっても割高であることが分かります。また東京23区においては20~24歳の給与内賃料負担率は33.60%で無理なく暮らしていけるか慎重になる必要がありそうです。賃料は毎月の固定費として支出する項目のため、負担を小さくする方法として負担率が30%を下回る横浜市(負担率28.15%)やさいたま市(同22.81%)、千葉市(同22.81%)などのエリアでの住まい探しも有効です。
【LIFULL HOME'S総研 チーフアナリスト 中山登志朗(なかやまとしあき)による解説
東京23区の狭小賃貸は“日本一高いのに狭い”物件が多い
ご存知の通り、東京都および東京23区にはコロナ後の本格的な経済活動再開と共に、大学や専門学校などに入学する新入生や、就職する新社会人など若年単身者層が全国から集まってきます。2024年に東京都に新たに転入してきた15~24歳は78,356人もの転入超過、同じく東京23区も転入超過数69,544人を記録しました。東京圏全体では107,735人という記録的な転入超過数に達しており、これだけ多くの若年単身者層が流入すれば、豊富に用意されているはずの賃貸住宅も逼迫し、折からの消費者物価の上昇も手伝って賃料水準が大きく上昇しています。
今回、主に東京23区で若年単身者層が借りるための賃貸物件への問合せ数を基に、その賃貸物件の平均賃料や平均専有面積を全国各地の都市と比較したところ(比較対象はランキングで掲出)、上記のような事情によって、東京23区の賃料水準は日本一高く、また面積単価も年収に占める割合も他の都市から突出して高いことが判明しました。
すなわち、問合せがあったワンルーム物件が最も狭かったのは東京23区の19.43㎡で、ほかに20㎡未満の都市は横浜市の19.50㎡という結果になりました。また賃料水準も東京23区の79,178円が最も高額であり、面積単価は4,075円と4千円を超え、他の都市との面積単価は7位の奈良市、8位の札幌市の2倍強に達しています。
また、各都道府県の20~24歳の平均給与から算出した賃貸物件の給与負担率は、東京23区のワンルームで29.74%となり、月収の1/3弱が居住費に費やされている実態が浮き彫りになります。トップ10で負担率が最も低い札幌市は16.55%と、どこで就業し生活するかでその負担が大きく異なることが明らかです。
1K物件の調査でも同様の傾向が表れており、東京23区のシングル向け賃貸は“日本一狭くて割高”であると言えます。また、間取り別でも「L」=リビングのない物件のほうがやや安価に借りられる傾向があるため「ずらし駅」ならぬ「ずらし間取り」によって2DKを借りて1LDKとして居住するなど、狭くて高いエリアならではの工夫も見られます。
調査概要
集計項目:LIFULL HOME'Sに掲載された賃貸物件で問合せがあった物件の問合せ件数、問合せ賃料(管理費込み)、問合せ面積、問合せ築年数、問合せ徒歩分数
集計地域:全国の政令指令都市、東京23区
集計期間:2021年~2025年の1月~3月
集計対象:賃貸物件
きまって支給する現金給与額:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」都道府県別年齢階級別(2023年)
LIFULL HOME'S について(URL:https://www.homes.co.jp/)
LIFULL HOME'Sは、「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに掲げる不動産・住宅情報サービスです。賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅から住まいの売却まで。物件や住まい探しに役立つ情報を、一人ひとりに寄り添い最適な形で提供することで、本当に叶えたい希望に気づき、新たな暮らしの可能性を広げるお手伝いをします。
日本最大級の不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフル ホームズ)」
賃貸のお部屋探し・賃貸住宅情報なら「LIFULL HOME'S」
マンションの購入・物件情報の検索なら「LIFULL HOME'S」
一戸建て[一軒家]の購入・物件情報の検索なら「LIFULL HOME'S」
注文住宅の施工会社・住宅カタログを探すなら「LIFULL HOME'S 注文住宅」
不動産売却にはまず査定の依頼から「LIFULL HOME'S 不動産査定」
マンション売却の一括査定なら「LIFULL HOME'S マンション売却」
不動産投資・収益物件を検索するなら「LIFULL HOME'S 不動産投資」
理想の住まい選び・家づくりをアドバイザーに無料相談「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」
株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。
--------------------------
プレスリリースのPDFはこちら