2025.07.15
介護への関心が高まるお盆に向けて、LIFULL 介護が「介護施設選びの実態調査」を発表。 世代間ギャップや「入居お祝い金」の影響も明らかに。
見学した介護施設数は平均2.8か所、検討期間は平均60.8日
「介護施設選びで重視したこと」に見られる世代間ギャップとは
入居お祝い金を受け取った人の20代・30代の8割超が「施設選びに影響した」
受け取った人は特定の施設を「強く勧められた経験」2倍、入居後の「転居意向」4割増
事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL senior(代表取締役:泉 雅人)が運営する業界最大級の老人ホーム・介護施設検索サイト「LIFULL 介護」は、介護への関心が高まるお盆に向けて実施した「介護施設選びの実態調査」の結果を発表します。
まもなくお盆。帰省きっかけで介護について考えるタイミングが到来。経験者による介護施設選びの実態とは?
8月の上旬から中旬にかけてのお盆時期で、実家への帰省を予定している方もいらっしゃるのではないでしょうか。帰省をきっかけに、親族の衰えや異変に気付き、介護を検討する方もおり、例年「LIFULL 介護」でもお盆明けにお問い合わせが増加する傾向にあります。
そこで「LIFULL 介護」ではお盆時期に合わせて、家族や親族に介護施設の入居経験があり、その際の施設選びや決定に関与したことがある、全国の20代〜80代の男女2,500名を対象に「介護施設選びの実態調査」を実施しました。
介護業界でも注視されている”入居お祝い金”。施設選びへの影響とは?
老人ホーム検索サイトなどで見られる”入居お祝い金”。これは老人ホーム検索サイトや老人ホーム紹介会社などを通じて老人ホーム等への入居が決まった際、その紹介会社から入居者ご本人、もしくはそのご家族に支払われるお金のことを指しています。一般的に入居お祝い金は、紹介会社が老人ホームに対して入居者を紹介し、入居が決まったときに、老人ホームから紹介会社へ支払われるお金が充てられます。お祝い金は紹介会社の利用を促進する営業施策のひとつですが、その原資は老人ホームの運営資金と言えます。
施設選びをする方にとってはメリットに感じられる一方で、業界団体からは「福祉サービスの公平性・中立性や透明性を損ね、社会保障費の不適切な費消を助長するとの誤解を与える」*¹と指摘されています。昨今問題視されている入居希望者の介護度や医療の必要度等に応じた紹介料設定とならんで「倫理に反する行為」*²として問題視されています。
「LIFULL 介護」では、介護や老後に悩む方々が様々な選択肢の中から安心して介護施設を選べるよう、介護や老後の不安に寄り添った様々な情報を提供しています。そこで今回の調査では、介護業界内でも注視されている入居お祝い金について、施設探しをする方に与える影響にも注目しました。
※1,2:高齢者住まい事業者団体連合「紹介事業者届出公表制度」2025年1月遵守事項の改定内容より
調査結果サマリー
〈介護施設選びの実態〉
・見学した施設数は平均2.8か所、施設の検討期間は平均60.8日。20代・30代では検討期間「1週間程度」以下が約3割。
・介護施設選びで重視したこと」、トップは「スタッフの印象が良いこと」で54.8%。「キャンペーンの有無」等の重視項目で世代間ギャップも。
〈入居お祝い金による施設選びへの影響〉
・入居お祝い金が施設選びに「影響した」、20代では約9割。受け取った金額「1万円以内」が20~30代で約5割、40~50代で約4割、60~80代では6割超。
・「入居お祝い金」を受け取った人は、紹介会社から特定の施設を強く勧められた経験が2倍。
・「入居お祝い金」を受け取った人はそうでない人より転居意向が4割高い結果に。
調査結果
〈介護施設選びの実態〉
見学した施設数は平均2.8か所、施設の検討期間は平均60.8日。20代・30代では検討期間「1週間程度」以下が約3割。
「あなた(もしくはご家族)が、いままでに見学した介護施設の数」については、平均見学施設数が2.8か所となりました。特に、全体の80.5%が「3か所以下」の見学となり、「見学していない」と回答した人も約1割(9.3%)いました。
また、「あなた(もしくはご家族)が、実際に入居する介護施設を探し始めてから決定するまでの期間」については、平均期間が60.8日となりました。世代別で見てみると、20代では「1週間程度」以下が33.7%、30代では26.5%と3割近くが非常に短期間で入居する施設を決定していることがわかります。
「介護施設選びで重視したこと」、トップは「スタッフの印象が良いこと」で54.8%。「キャンペーンの有無」等の重視項目で世代間ギャップも。
「あなた(もしくはご家族)は、介護施設を選ぶ際にどのような点を重視したか」においては、立地や施設・費用などのハード面をわずかに抑えて、「スタッフの印象・雰囲気がよいこと」が54.8%で最多回答となりました。
また20代と70~80代を比較したところ「立地の良さ/家族などが通いやすいこと」が20代では30.3%なのに対して、70~80代は59.3%と、両者には29.0%もの差があり、ギャップが最大となりました。
その他、差が大きくなった項目TOP10に関しては、「キャンペーンや特典・キャッシュバックがあること」において20代が17.6%に対して70-80代は0.7%となっており、唯一若年層の方が重視している割合が高く、かつギャップも大きい結果となりました。
LIFULL 介護 編集長 小菅 秀樹 コメント-重視すべきはケアの質や生活への安心感
施設選びを短期間で行うと、入居後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔するリスクが高まります。見学不足や情報の偏りがあると、「ケアの内容がイメージと違った」「期待していたサービスが受けられなかった」といったギャップを感じやすくなるからです。
今回の調査では、特に20代でキャンペーン特典など表面的な魅力を重視する傾向が見られました。しかし、本当に見るべきはケアの質や生活の安心感です。たとえば「介護・医療体制は万全か」「趣味や生きがいを続けられるか」といった点は、安心して暮らすうえで欠かせない視点です。
また、意外と見落とされがちなのが「家族の通いやすさ」。入居後は、不安定になりがちな本人のメンタルケアや施設との連絡調整など、家族にしかできない役割もあるため、アクセスの良さは重要です。
今回の調査では、世代により施設選びで重視する項目が異なることが分かりました。だからこそ、本人を交えてじっくり話し合い、価値観をすり合わせておくことが、後悔しない住まい選びにつながります。
〈入居お祝い金による施設選びへの影響〉
入居お祝い金が施設選びに「影響した」、20代では約9割。受け取った金額「1万円以内」が20~30代で約5割、40~50代で約4割、60~80代では6割超。
”入居お祝い金”とは老人ホーム検索サイトや、老人ホーム紹介会社などを通じて老人ホーム等への入居が決まった際、その紹介会社から入居者ご本人、もしくはそのご家族に支払われるお金のことを指しています。
入居お祝い金を認知しており、かつ受け取った方を対象にした「あなた(もしくはご家族)にとって、『入居お祝い金』を受け取れるかどうかは、施設の検索サイト・紹介会社を選ぶ際に、どの程度影響したか。」において、20代では「影響した」と約9割(非常に影響した:38.1%、やや影響した:49.8%)が回答しました。
また、それぞれの世代における「あなた(もしくはご家族)が、実際に受け取った『入居お祝い金の金額(総額)』」については、20~30代では約5割(20代:48.4%、30代:47.7%)、40~50代では約4割(40代:39.1%、50代:36.2%)60~80代では6割超(60代:66.3%、70~80代:62.5%)において、受け取った金額が「1万円以内」となっています。
「入居お祝い金」を受け取った人は、紹介会社から特定の施設を強く勧められた経験が2倍。
介護施設を探すときに検索サイトや紹介センターを利用した人を対象に、「入居金(初期費用)が高めな施設」や「すぐに入居できる空室がある施設」など、特定の施設を紹介サイトや紹介会社から強く勧められた経験があるか」については、入居お祝い金を受け取った方は72.3%、受け取っていない方は35.5%と2倍以上の差がありました。
また、紹介サイトや紹介会社の対応について気になったこと・不満点について、入居お祝い金を受け取った人からは下記のような回答がありました。(一部抜粋)
・すぐに入居できるという施設を紹介されたが、全く希望していない不便なエリアで、条件も合っていなかった。
・こちらの意向をあまり聞いてもらえなかった。
・施設見学の斡旋がやや強引、急かしすぎだったことが気がかりでした。
・もっと安い施設でも良いのに高額で遠い施設などを強引に勧めてくることがあったのでかなり不満です。
「入居お祝い金」を受け取った人はそうでない人より転居意向が4割高い結果に。
現在介護施設に入居している家族や親族がいる人を対象にした転居意向に関する調査では、入居お祝い金を受け取った人で「転居を考えている・考えたことがある」と回答した人は78.1%で、受け取っていない人と比較すると42%高い結果となりました。
高齢者住まい事業者団体連合会 事務局長 光元兼二氏 - 入居お祝い金の問題点とそれに伴う制度改定について
私たち高齢者住まい事業者団体連合会(以下、高住連)では、消費者が安心して介護施設を探せるよう、高齢者向け住まい紹介事業者(以下、紹介事業者)の届出制度「高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度」を運営しています。2024年12月27日に、紹介事業者がこの公表制度に届出を行う際の行動指針を改定しました。
その中で、倫理に反する行為の1例として「成約後のお祝い金やキャッシュバック等を活用した顧客誘導」を明示しています。これは、紹介事業は相談の質によって消費者に選ばれることで健全な競争環境になるという考えがベースとなり、福祉サービスとしての公平性・中立性や透明性を高めていくことを目的としています。
また、入居を検討される方にとっても「入居お祝い金」によって施設の選択肢が限定される可能性があります。お客様が「入居お祝い金」に誘導され、Webサイトに顧客情報を登録したタイミングで、成約時にホームから受け取る紹介手数料の権利が特定の紹介事業者に固定されてしまい、他の紹介事業者がお客様の施設紹介に介入できなくなるためです。
これに関係して、一部では介護施設から紹介事業者へ支払う紹介手数料の二重請求が発生しているという不具合についても看過できないと判断しました。
一般的に業法が存在する業界では、商品やサービスの質以外での競争によって取引がゆがめられる可能性に対して、規制がかけられてきました。記憶に新しいところでは通信業界での端末割引規制等が挙げられます。
入居紹介事業については業法はないものの、公金で事業を運営する事業に関わっている立場として、自ら健全な競争環境を作って行く必要があると判断したことが本改定に至った理由です。
調査概要
調査期間:2025年6月7日〜2025年6月11日
調査主体:株式会社LIFULL senior
調査対象:家族や親族に介護施設の入居経験があり、その際の施設選びや決定に関与したことがある、全国の20代〜80代の男女2,500名
調査方法:インターネット調査
※調査は性年代別人口に合わせたウェイトバック集計を行っています。
※小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
株式会社LIFULL senior について
「老後の不安をゼロにする」をビジョンに掲げ、ヒトとテクノロジーの力で、超高齢社会の課題を解決するさまざまな事業を展開しています。主な事業として、老人ホーム・介護施設検索サイト「LIFULL 介護」、遺品整理業者検索サービス「みんなの遺品整理」、介護施設向け買い物代行業務支援サービス「買い物コネクト」があり、今後も高齢者や関わる人々が抱える不安や課題に向き合って事業を拡大していきます。
株式会社LIFULL senior 概要
会社名:株式会社LIFULL senior(ライフル シニア)
所在地:東京都千代田区麹町1丁目4−4
代表取締役:泉 雅人
設立:2015年7月1日
事業内容:
老人ホーム検索サイト『LIFULL 介護』の運営
介護当事者一歩手前の世代に向け、介護や老後に関する最新情報や体験談を発信するウェブメディア『tayorini』(たよりに)の運営
株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。