2025.08.29
LIFULL ArchiTech、離島への住環境支援を目指してインスタントハウスの海上輸送モデル実験に成功
~建築コスト1/2~1/4、工期1/100で離島への住環境支援、地域の賑わいづくりの新たな可能性を創出~
事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL ArchiTech(以下、LIFULL ArchiTech)は、離島等への新たな住環境輸送モデルとして、本土の陸上で成型したインスタントハウスを船で牽引し海上経由で運ぶ実証実験を2025年7月に行い、運搬・設置に成功しました。
これにより、これまで物資の陸上輸送や建築物の設営が困難だった離島などのエリアへ、快適な住環境を短時間・低コストで提供することが可能になります。
本実証実験の背景と成果
離島振興法に基づく指定地域は77地域256島(令和7年4月1日現在)あり、本土にはないような豊かな自然環境の保全や多様な伝統文化を継承する役割を担っています。離島には、そこにしかない体験があり、観光地として非常に高いポテンシャルと魅力があるにもかかわらず、離島での開業を計画する宿泊事業者が抱える「物流」「人手」「コスト」「天候」などの建築の困難さにより、そのポテンシャルを十分に活かしきれていないのが実情です。
具体的には、建築資材の輸送コストが高額であることや、建築の専門知識をもつ職人の絶対数が少ないことによる人手不足、天候の影響を受け建築工期が延びやすいことなど、離島には観光需要が大きくありながらも建築には大きな課題があります。
低コスト・短時間で快適な居住空間を実現できるインスタントハウスを離島に設営できないかという相談の声をこれまで数多くいただいていましたが、離島に設営するには、吹付施工用トラックをフェリーで運ぶ必要があり、対応が困難でした。
離島での設営を目指して、本実証実験では、インスタントハウスを本土で成型し、海に浮かべ、漁船につないで海上を牽引し運ぶことで、西伊豆の船でしかアクセスできない遠隔地へインスタントハウスを設営することに成功しました。成型も輸送も短期間で行えるため、着工から海を越えた遠隔地への設営まで2日間で完了しました。海への着水、陸への引上げにも重機を必要とせず全て人力で対応することが可能なため、従来の離島建築や海上輸送と比較して大幅に工期やコストを削減することができます。
本実証実験により成功したインスタントハウスの海上輸送が実用化されることにより、離島に一般的な住宅を建築したときのコストの約1/2~1/4※1、工期 1/100※2で住環境を提供することができます。これにより、建築に大きな課題があった離島エリアでも低コスト・短時間での住環境を実現し、宿泊事業や観光業などの離島への事業参入を後押しします。
※1 2023年度住宅工事費単価に令和8年度離島工事指数をかけた値と比較した場合
出典:「令和8年度新営予算単価」(国土交通省)離島工事指数
※2 戸建住宅の工期を100平米3〜6ヶ月とした場合
今後の展開について
今後は、離島エリアの建築の課題を解決することで、離島の持つ魅力的な地域資源の活用を促し、宿泊業や新規事業などの参入増加による地域の賑わいづくりや関係人口増加に貢献していきます。また、離島以外の場所においても、近年まちづくりの中で注目されている水辺エリアへの展開など、陸上での建築物設営やコストに課題がある場所の有効活用方法として、水上カフェや水上宿泊施設など、水辺の賑わいを創出する空間づくりにもつなげてまいります。
プロジェクト企画者コメントLIFULL ArchiTech 取締役CTO/名古屋工業大学共同研究員 山田義剛(やまだ よしたか)
インスタントハウスの開発では、常に「よりシンプルに」という思想を大切にしています。課題に直面した際には、何かを付け足して解決するのではなく、構成要素を増やさず工夫によって乗り越えることにこだわってきました。今回の課題は、吹付用トラックが陸路で到達できない場所でいかに設営を実現するかというものでした。当初は分割搬送や機材小分けなどを検討しましたが、コストや手間がかかり、再現性に乏しいと判断しました。そこで発想を転換し、ハウスそのものを海に浮かべて運ぶというシンプルかつ革新的な方法にたどり着いたのです。これこそが、インスタントハウスの本質を体現していると感じています。
インスタントハウスについて(URL:https://instantproducts.lifull.net/house/)
インスタントハウスは、2011年3月東日本大震災での被災地支援をきっかけに名古屋工業大学大学院の北川啓介教授の研究をもとに、LIFULLと名古屋工業大学大学院による産学連携協定にて開発した新しい構築物です。
土地に定着していないため非建築物扱い※となり、建築物のような制約がなく、さまざまな土地に設置できます。テントシートを空気で膨らませ、内側から断熱材に使用されている硬質発砲ウレタンを吹き付け施工します。
シンプルな工法で1棟あたりわずか数時間で設営可能なだけでなく、断熱性や耐久性に優れ、さらに耐震性や耐風性をあわせ持つことから、ワークスペースや宿泊スペース、避難所の医療救護室やコミュニティの休憩所、断熱を要する備蓄倉庫などにも活用できます。
※ 行政判断によって見解が異なる場合もあります。
株式会社LIFULL ArchiTechについて(URL:https://lifull.com/company/group/lifull-architech/ )
名古屋工業大学大学院工学研究科の北川啓介教授の研究を用いて主に①インバウンド増加に伴う宿泊施設不 足、②空き家の利活用、③災害時の住宅供給の課題を解決できるソリューションを開発し、それらに貢献する事業を展開しています。 「ArchiTech」とは「Architecture」+「Technology 」の造語であり、建築技術によって世界を革進していくことをミッションとし、革進していくための技術を開発します。
■株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。