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2025.07.11

LIFULL リサーチ

リゾート地の物件価格をLIFULL HOME'S が調査 ~湯河原・熱海で価格が上昇傾向、越後湯沢のリゾートマンションにも変化?~

不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」を運営する株式会社LIFULL(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120、以下LIFULL)は、リゾート地が路線価上昇率で上位にランクインしているなか、リゾート地の物件価格について調査しました。

解説

LIFULL HOME'S総研 副所長/チーフアナリスト
中山 登志朗(なかやま としあき)

出版社を経て、 1998年から不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演を行うほか、年間多数の不動産市況セミナーで講演。2014年9月にLIFULL HOME'S総研副所長に就任。国土交通省、経済産業省、東京都などの審議会委員などを歴任。(一社)安心ストック住宅推進協会理事。

湯河原:東京まで通勤可能なリゾート地として「転職なき移住」が増加

 横浜まで約1時間、東京まで約90分(小田原から新幹線利用で約1時間)、歴史ある温泉地の「湯河原(神奈川県)」で中古物件の価格が上昇しており、2025年の中古物件の掲載価格は2019年対比で148.3%(2,096万円→3,107万円)となりました。

LIFULL HOME'S総研 中山登志朗の解説

湯河原は箱根と並ぶ神奈川県内有数の温泉リゾートですが、箱根が芦ノ湖周辺の急峻な山々に囲まれているのに対し、湯河原は比較的平坦でアクセスが容易なことから、近年では駅周辺から奥湯河原エリアで、実需での住宅購入が増加しています。

土地柄から「リゾート目的=セカンドハウス&サマーハウス需要」もしくは「リタイア後の終の棲家としての活用」もありますが、東京・横浜エリアでの住宅価格の急騰および賃料の上昇、および生活費全般の値上がりなどから首都圏の市街地中心部、近郊のベッドタウンから郊外方面へと転居するファミリー層が増加しており、テレワーク併用型のワークスタイルが完全に定着したこともあって、郊外~準郊外、さらに以遠のエリアに「転職なき移住」をするケースが増えたことで、湯河原でも実需(実際に家族で住むために購入するユーザー)が増えています。

東京・横浜・品川にJR東海道本線で乗り換えなしでアクセス可能であり、目の前には相模湾が拡がる自然も海の幸も豊かな湯河原は、購入物件への「問合せ数」でランキングしている「2025年 LIFULL HOME'S みんなが探した!“買って”住みたい街ランキング(首都圏版)」で94位(2023年)→42位(2024年)→6位(2025年)まで急上昇しており、実需とセカンドハウス需要が重なったことで、首都圏での注目度が急速に高まっています。

中古物件の掲載価格は今年に入って3,000万円台を突破する勢いで上昇していますが、反響価格は2019年以降1,200~1,300万円で横ばいです。ユーザーの購入希望価格のボリュームゾーンは住宅価格としては安価な水準であり、リフォーム&リノベーション費用を含めても2,000万円台半ばで概ね購入可能となっています。

熱海:新幹線で東京まで40分、有名観光地ながらマンションが建ち並ぶリゾート

 都心に近い人気の温泉地「熱海(静岡県)」では中古物件の価格がじわじわ上昇しており、2025年の中古物件の掲載価格は、2019年対比で114.6%(2,159万円→2,475万円)となっています。特に中古一戸建てにおいて上昇率が大きく、2019年対比で119.9%(2,317万円→2,778万円)となっており、中古マンションの108.5%(2,001万円→2,171万円)と比較すると上昇率が高くなっています。

LIFULL HOME'S総研 中山登志朗の解説

全国有数の温泉リゾートとして発展してきた熱海。急峻な地形で、熱海海岸から鷹ノ巣山まで直線距離で3.5㎞の間に700m程度上っており、傾斜地に建ち並ぶマンション群は独特の景観を生み出しています。近年のインバウンド需要が急速に高まるまではコロナ禍の影響もあって観光需要は低調でしたが、コロナ明け以降は再び勢いを取り戻しています。

古くから熱海駅周辺を中心にマンション開発がコンスタントに継続しており、湯河原と並ぶ「東京の奥座敷」としてのセカンドハウス需要、リタイア後の終の棲家需要も健在です。温暖な気候からコロナ禍以降は実需も顕在化し、新幹線で新横浜・品川に30分前後(在来線で90分前後)、東京に40分前後(在来線で100分前後)でアクセス可能なので、首都圏の通勤圏=「最も東京に近い静岡県の街」として十分機能するスペックを備えています。

首都圏版の住みたい街ランキングは一都三県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)を対象としているため、熱海は登場していませんが、仮に集計対象エリアとした場合、都心方面にアクセスの良い熱海は近年では100位以内にランクインする実力がある街といえます。

中古物件の掲載価格は、上昇が顕著な湯河原とは対照的に2,500万円前後で概ね横ばい推移し、反響価格も1,000万円をやや上回る水準で安定推移しています。需要と供給のバランスが良好なエリアマーケットを構成しており、リフォーム&リノベーション費用を含めても2,000万円前後での金額で購入可能であることも、“東京&横浜通勤圏”ではコスパが良好な街といえます。

【参考】越後湯沢リゾートマンションのいま

 東京から新幹線で約80分、スキーリゾート地として国内外から人気の「越後湯沢(新潟県)」で中古マンション価格が急騰しており、2025年の中古マンション掲載価格は、2019年対比で168.5%(107万円→181万円)となっています。また、2019年対比で反響数(問合せ数)はコロナ禍で一時落ち込むものの、以降は増加しています。2025年に反響のあった中古マンション築年数は平均38年となっており、バブル期(1986年-1991年)に供給されたリゾートマンションが中心だと考えられます。

バブル期のリゾートマンションは数十万円でも売れず、「負の遺産」と言われていましたが、LIFULL HOME'S PRESS編集部の取材によると、近年のインバウンド観光需要でホテルの予約が取りづらくなっているなか、物件購入に踏み切る方もいるようです。

※LIFULL HOMES PRESS「8年連続で社会増となった湯沢町でリゾートマンションのポテンシャルを考える

 LIFULL HOME'S総研 中山登志朗の解説

首都圏中心部に通勤可能なリゾート地といえば、湯河原、熱海のほかにも那須、軽井沢、草津、鬼怒川、鴨川などがイメージされますが、1990年前後のバブル期にリゾート開発が盛んに行われ、バブル崩壊とともに観光・リゾート需要も失われた越後湯沢の中古マンション価格の現状も併せて調査しました。

90年バブル期にはスキーリゾートブームの中心地として発展し、リゾートマンションも50~60棟、約2,800戸が相次いで建設されて、そのマンションが建ち並ぶ景観から「東京都湯沢町」と揶揄されるほどの活況をていしました。しかし、1990年代以降はバブル崩壊とスキーブームの終焉からリゾートマンション価格が急速に下落し、なかには「無料で差し上げたい(別途贈与税が発生)」「5~10万円で買って欲しい」などの極端な事例も発生して、リゾート地としては「過去の街」とされた時期もありました。

現在はデータの通り、10万円などという極端に安価な価格では流通していませんが、一戸当たりの価格としては安価な100万円超の水準からやや上昇基調で推移しています。一方、反響価格もやや上昇基調で推移していますが、100万円に達していませんから、築35年前後のリゾートマンションの購入目的は限定的であることが分かります。

ただし、反響数はコロナ前の2019年対比で3倍近くまで増加しており、価格の安さから問合せしてみたり、維持・管理コストを確認したりするなどの購入準備段階の動きは活発になっていると考えられます。

LIFULL HOME'S について(URLhttps://www.homes.co.jp/

LIFULL HOME'Sは、「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに掲げる不動産・住宅情報サービスです。賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅から住まいの売却まで。物件や住まい探しに役立つ情報を、一人ひとりに寄り添い最適な形で提供することで、本当に叶えたい希望に気づき、新たな暮らしの可能性を広げるお手伝いをします。

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株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120URLhttps://lifull.com/

LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。

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